プロジェクトストーリー

  • プロジェクトストーリー01 「みんなのガレージ」始動
  • プロジェクトストーリー02 『ピット』オペレーション革命
  • プロジェクトストーリー03 タイヤ販売強化策
  • プロジェクトストーリー04 DRIVE JOY

PROJECT01 新ブランド店「みんなのガレージ」始動

  • 武藤 主計

    構想段階からプロジェクト全体をリードするスーパーバイザー。業界の常識を覆す取り組みに闘志を燃やす。
    「私が理想とするのは、子どもから高齢者まで地域で愛されるカー用品店であり、温かいサービスです」

  • 三谷 輝宏

    主力商品であるタイヤバイヤーの経験を活かし、店舗のエントランス周りの大改装を主に担当。「クルマに興味のない人でも、入りやすくて楽しめる『みんなのガレージ』に育てていくつもりです」

  • 仮坂 進

    VMD(ビジュアル・マーチャン・ダイジング)の導入で売り場の変革を推進。“魅せる店舗づくり”に勤しむ。
    「経験者ほど常識に捉われがち。この新しいブランド戦略には、若手社員の斬新な発想が欠かせません」

  • 永冶 太樹

    クルマは“生活を彩るツール”と考える入社5年目。プロモーションを担当。「経験が浅くてもビッグプロジェクトの一員になれますし、人を巻き込みながら挑戦できるところが、この会社で働く魅力だと思います」

2013年4月。本社の会議室では、マーケティングや店舗開発など各部門からメンバーが招集され、白熱した議論が続いていた。テーマは、次世代のカー用品店。スーパーバイザーを務める武藤も、現状に危機感をもつ一人だった。
「既存のカー用品店『ジェームス』はこれまで右肩上がりの成長を続け、全国91店舗まで拡大しました。しかし、この成長にあぐらをかいていていいのかという危機感がありました。もうチラシを撒くだけでカー用品が飛ぶように売れるような時代じゃない。とは言え、低価格競争では限界がある。もっと他に提供できる価値はないかと、意見を出し合いながら突破口を模索する日々でした」
週2回の定例会議は数ヵ月間続いた。そして辿り着いたのは、カーライフそのものの提案だった。

「女性や家族連れといった新しいお客様を獲得していくためです。ただ、品揃えの充実や店内の模様替え程度では根本的な解決策になりません。そこで今までの『ジェームス』とは違う、まったく新しいブランドコンセプトを立ち上げようと。目指したのは、カーマニアではないユーザーにも気軽に来てもらえる、ガレージ感覚のお店です」
名は体を表すと言うように、新コンセプト名は自ずと決まった。『みんなのガレージ』。スローガンは、“カーパーツのお店から、カーストーリーのお店へ”。
業界でも前例のない挑戦が始まった。

  • 自ずと決まった新コンセプト名

  • 新コンセプトの店舗外観

カー用品店の店構えとして真っ先に浮かぶのが、山積みされたタイヤだ。それは、“カーマニア以外お断り”と言わんばかりに行く手を遮る。『みんなのガレージ』プロジェクトが 最初に着手したのは、エントランスの変革だった。担当した三谷は言う。
「圧倒的な品数・在庫数を見せる=売上アップ。それが業界の常識でした。ただ、あの黒くそびえ立ったタイヤの塊を見れば、家族連れには“危ない”、女性には“服が汚れる”と思われて当然です。実際に行った、顧客アンケートの結果からも明らかでした。そこで、まずは“圧迫感がない”をポイントに展示場所や方法を検討することにしました。雨さらしになる屋外から屋内へ。陳列棚はスチール製から木製に。ホイールを近くに飾って空間デザインに活かすなど、取り入れた工夫は多岐に渡ります。目指したのは、“倉庫”から“雑貨店”へのイメチェンです」

変革のポイントは、商品の“選びやすさ”にも及んだ。そして、既存店でのテストマーケティングが始まる。
「クルマに詳しくない人にとって、商品選びは至難の業。そこで導入したのが、タブレット端末です。お客様も興味をもちやすいようで、接客でも“こんなタイヤもあるのね”“他の商品を検索してみてもいいですか?”と盛り上がりました」
この取り組みは、顧客の満足度を上げるだけではなく、商談時間の短縮というメリットも生んだ。三谷は手応えを感じていた。

  • 圧迫感を無くし、オシャレな雑貨店のようなエントランス

  • タブレットを用いた親身な接客

「カー用品店に付き合わされる女性にとって、待ち時間は苦痛ですよね?」「お洒落なカフェは絶対に必要だと思う!」「子どもと楽しめるイベントをもっと充実させるのはどうだろう?」
カー用品店を“楽しめる場所”に変えるアイデアが、次々と出されていく。なかでも目玉となったのが、仮坂がリードしたVMD(ビジュアル・マーチャン・ダイジング)の導入だ。
「売り場の“視覚的な演出効果”は欠かせないと思いました。たとえば商品の“色”。大幅にカラーバリエーションを増やし、グラデーションで見映えのする風景にすれば、遠くからでも注目されて手に取りたくなるという仕掛けです」
仮坂は専門家を招いて、人の心理や習性を徹底的に学んだ。そして、さらに大掛かりな魅力づくりに着手する。

「売り場を“7つのゾーン(カーアクセサリー、カーファッション、カービューティー、アクティブライフ、エンジョイドライビング、ワクドキ、カーメンテナンス)”に分けました。色々な専門店が入っているショッピングセンターと同じ考え方です」
今やVMDはアパレル業界などでは常識だ。しかし、カー用品業界では注目されてこなかった。
「VMDをテスト導入してみると、販売実績があまり良くなった商品が、テスト期間中に前年比150%の売上げを記録するなど、導入効果は歴然でした」

  • お洒落なカフェを導入

  • カラーバリエーションを増やし、
    見栄えのする売り場の風景

  • VMDを導入した売場

“カーライフの提案”に最もこだわったのは、プロモーション担当の永冶かもしれない。
「商品を並べるだけの広告とは決別しました。ポータブルスピーカーにしても、音楽を聴きながら洗車をするといった“シーン”とあわせてアピールすることにしたんです。カーライフを提案することが『みんなのガレージ』ですから」
広告でPRしたシーンは、売り場でも再現。来店者の背中を“もう一押し”する。この連動型の取り組みは、チームにも一体感をもたらした。永冶の新しい販売促進手法の追求は続く。
「商品広告にQRコードを添え、スマホで“使用シーンが動画で見られる”ようにしたいと考えています。入社2年目の女性社員もメンバーの一人ですが、若手にチャンスが与えられ、経験よりも新しい発想を期待されているところにやりがいを感じています」

2014年3月。晴れて新コンセプト一号店はオープンした。今年度中に50店舗の『みんなのガレージ』が全国に展開されていく計画だ。構想から出店までを振り返り、武藤は言う。
「最大の課題は、業界の常識に縛られていた私たち社員の意識を変えることでした」
ちなみにタクティーでは、担当した本人が企画から実行まで一気通貫でやり抜く。“想い”が現場に伝わってこそ、変革は完結する。そんな信念があるからだ。カーライフを提案し、新ブランドが浸透するその日まで、一人ひとりの挑戦に終わりはない。

  • 商品を並べるだけの広告からカーライフを提案する広告に

  • 新たな発想でのPR方法の追究

  • カーライフを提案する店舗

PROJECT02 『ピット』におけるオペレーション改革

  • 粟野 貴之

    ピット商品の販促企画やツール制作を手掛けるベテラン。元々メカニック志望で、専門学校に通い整備士資格を取得。 「色々なクルマに触れたくてジェームスに。最初は店舗でピットスタッフを務めていました」

  • 石黒 勝之

    1級整備士の資格を活かし、ピットスタッフを経験した後、ピット企画部へ。 ピット運営を“平準化”する仕組みづくりに取り組む。 「私も整備の専門学校出身ですが、タクティーを選んだのは販売職や企画職にも挑戦したかったからです」

  • 渡邊 早

    入社2年目。ピット作業を“標準化”するためのマニュアル開発を担当。 「“クルマに詳しくない女性の視点を求めている”“若手でも大きなプロジェクトを担当できる”と会社説明会で聞いたことが入社の決め手でした」

カー用品店と聞けば、誰もが店内に所狭しとグッズが並ぶ風景を想像するはずだ。しかしそこでは、物として陳列されていない商品も売られている。
「“カーメンテナンス”という商品です。隣接するピット(整備施設)では、整備士資格をもつスタッフがオイル交換などを毎日行っています。つまり、スタッフの持つ“技術”が商品となるわけです」
粟野はピットを知り尽くすベテランだ。長年ピットスタッフとして働き、ピット長を経験。その後本社へ異動しオイルやフィルターといったメンテナンス商品の担当も務めた。そして15年目を迎えた2014年の1月。プロジェクトに参画した。
「ピット企画部が新設されるタイミングで作られた。カーメンテナンスでファンを獲得するために結成されたプロジェクトチームです」

カー用品だけで売上拡大を図るには限界がある。それは社内で以前から議論されてきた課題だった。
「私たちに与えられたミッションは、ピットを中心に提供するカーメンテナンスの品質を、ジェームス全店舗で引き上げることでした」
経験を買われた粟野が任されたのは、“販売促進策”の立案だった。メンテナンス商品には、クルマに詳しくなければ、それが何なのかさえ分からないものが多い。
“オイルって交換しないといけないの?”と尋ねてくるお客様もたくさんいます。そこで例えば、“オイルは人間でいうと血液のようなもので・・・”と解説したツールを用意するなど、全てはお客様の目線で考えるという基本に立ち返り、分かりやすい売場づくりに相当こだわりました。

  • カーメンテナンス訴求コーナー

カーメンテナンスを“いかに販売するか”に粟野が取り組む一方で、“どう提供するか”のテーマに抜擢されたのが石黒だった。
「これまでメンテナンスは、受付順に行ってきました。混雑する週末はお客様を待たせることも日常茶飯事で、しびれを切らしてキャンセルされ、他店に行ってしまうケースも少なくありませんでした。そこで取り組んだのが、ピット運営を“平準化”する改革です」
“平準化”とは、集中している負荷を分散し、ならすことで様々なメリットを生もうとする取り組みだ。
予約ができれば、週末の長蛇の列は解消される。また、空いている平日にご来店頂ける環境作りができれば結果的に、入庫する台数は増えるはず。石黒はそう読んだ。
「予約の仕組みだけでなく、作業の工程管理が必須だと考えました。誰が・いつ・どんな作業を担当するのか。空いている時間はどこか。受付をするスタッフも含めて誰もが把握できるように、管理ボードを設けて“見える化”しました」
この仕組みの狙いは、お客様の満足度アップだけではない。ピットスタッフのモチベーションアップも実現できる。

工程管理ボード(試作)

「あらかじめ予定を把握できれば、計画をたてて作業を進められますし、しっかりと休息もとりながら集中力を保てます。サービス品質を上げるためには重要だと思いました」
現場の経験者ならではの視点だった。とは言え、ピット作業が店舗毎にバラついていては、石黒の改革は日の目を見ない。そこで白羽の矢が立ったのが、入社2年目の渡邊だった。決してクルマに詳しくはない、ユーザー代表として。

「私が命じられたのは、ピット作業の“標準化”です。それまでは方法も手順も、店舗やピットスタッフに委ねられていました。つまり、作業品質にバラツキが発生する訳です。そこで、誰が作業しても同じ品質となるマニュアルを開発することに。ただ、当時の私はオイル交換と聞いてもピンとこない素人。指示を受けたときは“私が開発を?”と思わず上司に聞き返しました」
渡邊はマニュアルをつくるために関連資料を研究し、時には現場に足を運びながら試行錯誤を繰り返す。
「オイル交換やタイヤ交換といった作業ごとに効率的な方法や手順を吟味して、時間配分も秒単位で定めていきました。他にも、お客様のお車の扱い方やマナー、心構えに至るまで徹底的に詳しく。試作版が完成したときは嬉しくて言葉になりませんでした」

開発期間6ヵ月。ついに全店舗へ披露する日がやってくる。満を持して臨んだが、ピットスタッフの反応に愕然とした。
「“ヤレというならヤリますけど”。そんなネガティブな声がほとんどでした。“マニュアルどおりの作業”を押し付けられると受け取られてしまったからです」
マニュアル化したのは、あくまでも作業を効率化する“枠組み”でしかない。誤解をどうすれば払拭できるか、渡邊は頭を抱えた。そして・・・・・・
「騙されたと思って試してみてください。皆さんの負担も減るはずです。そうお願いし続けました」

  • 標準作業マニュアル

  • オイル量の検証

  • 作業ツールの検証

ピット企画部発足から1年。3人は今、最近オープンした91店舗目の『ジェームス』を拠点にテストマーティングを続けている。
粟野は、練り上げた“販売促進策”のトライアルを行いながら、試行錯誤を繰り返す。
「試したことが数字となって確実に表れる。それを楽しんでいます。15年働いてもピットの仕事は飽きません」
石黒は、ピットスタッフと議論を重ねながら、理想的な“平準化”のカタチを見出そうとしている。
「今年度中に20店舗で導入し、その後は全国に展開していく計画です。もちろん一人では実現できません。みんなで新しいコトを築き上げていく喜びを実感できる仕事です」

渡邊は、各地区でマニュアルの勉強会を開きながら、“標準化”の浸透に取り組む。
「“タイヤの交換作業が5分も短縮できた”“クレームが半分に激減した”といった嬉しい声が届くようになりました。他にもチャレンジしたいことがあるので、どんどん手掛けていくつもりです」
“品質と信頼”で選ばれるカー用品店として、現場のピットスタッフと、ピット企画部のメンバーが一丸となった挑戦は続く。

  • 社内での標準作業勉強会

  • オイル標準作業勉強会

  • タイヤ標準作業勉強会

PROJECT03  卸売ルートにおけるタイヤ販売強化策

  • 森 祥晃

    1998年入社。新たな販売支援策となったイベントの準備から運営までを担当した。 「この部署で卸売事業に関わる前は、『ジェームス』で新店舗の立ち上げやタイヤのバイヤーなどを務めていました」

  • 水谷 友昭

    2007年入社。森とともに販売支援策に携わり、イベントの企画立案に取り組む。 「トヨタのアフターマーケット戦略会社という成長性にも惹かれましたが、“楽しく働けそう”と強く感じたことが入社の決め手でした」

タクティーには、カー用品店『ジェームス』を担う小売事業のほかにも核ビジネスがある。自動車部品・用品の卸売事業だ。最大の供給先は、全国に34社あるトヨタ部品共販店。全国に約4,700拠点あるトヨタディーラーにトヨタ純正部品・用品の供給をしていると聞けば、いかに重要な取引先か分かるはずだ。なかでも“タイヤ”は主力中の主力商品。担当する水谷や森が所属する部門は、“日本で有数のタイヤ商社”といえた。
「取扱い額が大きいので、任されていると思うとプレッシャーも大きいですが、仕事のやりがいや醍醐味の大きさはそれ以上ですね」
そう話す水谷は入社8年目。商品を調達するバイイングとあわせ、販売手法も企画するため、「マーチャンダイザー」と呼ばれる。

「取り扱うタイヤのメーカーは、米国の『グッドイヤー』です。タクティーは、日本でNo.1の取引額を誇ります。私たちの最大のミッションは、トヨタ部品共販店と協力し、より多くのお客様にグッドイヤーのタイヤを届ける事です」
世間でタイヤがもっとも売れる季節は、冬といわれる。タクティーが供給するタイヤも、10本に3本が雪道用の“スタッドレスタイヤ”だ。森いわく、この商品には慣例があるという。
「およそ4年に一度実施されるモデルチェンジです。氷上性能をアップさせた新商品が発売されますが、私たちにとって大勝負になることは言うまでもありません」

2013年は、モデルチェンジの年だった。グッドイヤーから新商品が発売されることを受け、販売強化策の検討が始まる。
「トヨタ部品共販店でもタイヤの売上が年々拡大していたので、期待の大きさがひしひしと伝わってきました」
水谷が任されたのは販売強化策の中身。“企画”だった。
「グッドイヤーは、米国ではトップシェアです。しかし、日本での認知度はまだまだ低い。国内のメ-カーの牙城を崩すのは至難の業です。だからこそ企画力が求められました」
一般的に販売強化策は、販促ツールやノベルティ、インセンティブを用意するケースが多い。“商品そのもの”の魅力が伝わる施策は意外に少ないのだ。そこで水谷は、ある企画を思いつく。

「全国にまたがる“試乗研修会”を提案しました。トヨタ部品共販店の販売スタッフに地区毎に集まってもらい、新しいスタッドレスタイヤの魅力を実際に体感してもらおうと。大事なことは、お客様と接点をもつ販売スタッフ本人に性能の良さを味わってもらうこと。販売スタッフに良さが伝わらずして、お客様にまで良さが伝わるはずがないですから」
水谷は開催する会場や評価してもらう方法なども含めて、プログラムの内容を固めていく。そして、トヨタ部品共販店やグッドイヤーとの交渉をスタート。反応は上々だった。

検討が始まってから6ヵ月後、試乗研修会の実施が正式に決まる。森は、水谷の企画を“実現”する役目を引き受けた。当日をめざして準備に奔走する。
「商品や試乗車の手配は問題なく進みました。大変だったのは、氷上を想定した会場として“アイススケートリンク”を押さえることでした」
トヨタ部品共販店は全国に34社ある。地区で割っても最低8ヵ所の巨大なスケートリンクが必要だった。
「ただ、オープンする日が遅いところで9月。冬の販売商戦がスタートする前に実施しないと意味がありません。また、多くの参加を見込んで17日程計画したので、開催日が重なる地区も」

スケジューリングに頭を抱える一方で、他にも大きなハードルがあった。試乗研修会を運営するスタッフの確保だ。
「担当を割り振ると、少なくとも1会場につき15人程度は必要でした。そこで、社内の他部署に社員の派遣を依頼する事に。宿泊してもらうホテルの予約など、やるべき事は山ほどあり、ハードスケジュールで苦労の連続でした。ただ、今までにないスケールの試乗会だったからこそ熱が入ったのは確かです。トヨタ部品共販店からも”楽しみにしていますよ”という声をたくさんいただきました。

  • トラックをチャーターし、資材を搬入

  • 販売スタッフ向け商品説明会

暑さがまだまだ残る9月9日。大阪会場を皮切りに、全国縦断の試乗研修会はスタートした。終わってみれば、参加者は過去最大。参加者からは氷上でのあらゆる性能に満足いただけた。企画を担当した森は、胸を撫で下ろす。
「“自信をもって販売できるか”というアンケート項目に対して、“できる”という回答がほとんどでした。グッドイヤーのタイヤを取り扱うことが、トヨタ部品共販店のメリットになる。そんな企画を今後さらに打ち出していきたいと思っています。卸売事業といっても、トヨタ部品共販店とグッドイヤーを取り次ぐだけが仕事ではありません。新商品の設定から店舗の展開まで、どんなことでも提案できる。そして、自分が企画したことが全国に広がってビジネスが大きく動く。そのスケール感にいつもワクワクしています」

試乗研修会を無事成功させた水谷には、挑戦したいテーマがある。
「グッドイヤーというブランド価値のアップです。タイヤの性能は各社ともほとんど差がありません。その中でブランドイメージを確立し、グッドイヤーならではの世界観をアピールしていく事が重要。より多くのお客様にグッドイヤーを知ってもらえるような企画を考えていきたいですね」
ちなみに水谷と森が関わった新しいスタッドレスタイヤは、過去最高の出荷本数を記録したという。

  • 試乗コースの説明

  • スケートリンクを使った試乗会の様子

PROJECT04 『DRIVE JOY』のアフターマーケット戦略

  • 川崎 茂朝

    戦略の立案から実行まで、メンバーをリードする入社16年目の実力者。タクティーを創業期から知り尽くす。「トヨタがカー用品店を始めると聞いて、「ジェームス」にアルバイトで入ったのがキャリアの始まりです」

  • 豊田 正志

    戦略の実行にあたって、重要な役割を果たした入社2年目の期待の星。「商社や物流企業を中心に会社説明会に参加するなかで、『ここでの仕事は”想い伝え業”です』という言葉に惹かれて入社を決めました」

タクティーは、トヨタ自動車のアフターマーケット戦略会社として産声をあげた。卸売事業では、トヨタ部品共販店を通じて全国のトヨタディーラーを中心に補修用の部品を供給している。但し、扱っているのはトヨタ車用の部品だけではない。タクティーオリジナルブランド『DRIVE JOY(ドライブジョイ)』の名前で販売している補修部品は、トヨタを含む国内自動車メーカー各社のものを品揃えしている。
「トヨタ以外の自動車メーカー用の部品も自動車整備工場やガソリンスタンドなどに供給しています。つまり、“トヨタ以外のメーカー”に乗るエンドユーザーも、タクティーにとって見過ごせないお客様なんです」
川崎が籍をおくのは“部品礦油(こうゆ)部”。補修用部品の戦略を担う部だ。
『DRIVE JOY』をはじめ、多くの補修部品・ケミカル品・オイル類を供給。仕入れはもちろん、販売戦略や市場調査、販促企画も手掛ける。

部品礦油部のなかでも、室長を筆頭に川崎を含めたメンバー10人で組織された“部品室”では、約20品目のパーツを扱う。ブレーキパッド、ワイパー、スパークプラグ、バルブ・・・・・・。どれも定期的な交換が必要となる補修部品。車が走る限り、一定の需要が見込める商品だ。しかし、時代とともにマーケットは変化していく。

ロゴマーク

「マーケットは変化しています。例えばハイブリッド車が増えるなど、世の中を走っているクルマは常に変化していきます。つまり、クルマが変われば必要とされる部品も変わるという事です。マーケットの変化に柔軟に対応していかなければなりません」
2014年の商戦を迎えるにあたって、どんな戦略を打ち出すべきか。川崎たちは市場調査や販売動向の資料をもとに検討をつづけた。そして、あるカテゴリーに注目する。“軽自動車”だ。「自家用車の保有台数が横ばいをつづける一方で、軽自動車は今や保有台数の4割を超える勢いです。一方で、『DRIVE JOY』がカバーできている軽自動車の補修部品は、80~90%のカバー率ですが品目によっては40%程度のものもあります。指をくわえて見ている状況ではありません!」
軽自動車のアフターマーケットをおさえる。それを新たな戦略にした。カバー率を引き上げるため、川崎たちは開発・製造を委託するサプライヤーとの交渉を始める。とはいえ、クルマのパーツは千差万別。1品番をカタチにするにも最低3ヵ月はかかるという。

「たとえば私が担当するブレーキパッドは、車種によって仕様が違う専用品です。さらにグレードによって作り分けているケースもあります。ハードルの高さはハンパではありませんでした」
ここで忘れてはいけないことがある。品物を揃えたとしても、注文が入るとは限らない。メンバーの一人、当時入社1年目の豊田が託されたのは、数ある競合商品の中から“いかに『DRIVE JOY』を選んでもらうか”だった。

DRIVE JOYの商品

「注文は、私たち卸売業者が配布する“カタログ(部品適合表)”で行われます。必要なパーツが載っているページを見つけ、その品番で発注する。逆にいえば、“見つけてもらえない=売れない”わけです」
お客様の手元にあるのが『DRIVE JOY』のカタログだけとは限らない。他の部品メーカーにも同じようなカタログが存在する。豊田は決断する。
「他の卸売業者にはなかった“軽自動車専用のカタログ”を制作して攻勢をかけることにしました。こだわったのは、“読者のメリット”を徹底的に追及することです」
お客様の声として感じ取っていたのは、「部品によって注文先が異なること」が最も煩わしいということ。
「大事なことは、“1社ですべての部品が揃う”こと。そのためにも、車種や品目を広くカバーすることが不可欠でした」
編集長となった豊田は、ある試みに挑む。

「“品目別に分冊する”のがこの業界の常識でした。僕が出した答えは、全品目を網羅した上で“車種別に編集した1冊にする”こと。そうすれば、部品を調べる手間が減ります。とはいえ、載せる情報は車種・年式・グレード・品番・検索キーなど多岐にわたります。単純に整理しただけでは見にくく、1冊にすることが逆にデメリットになる。悩ましい毎日で、何度も心が折れそうになりました」
より見やすく、検索しやすいカタログはどうすればできるのか。豊田の試行錯誤は数ヵ月に及んだ。

品目別のカタログ(部品適合表)

『DRIVE JOY』の新たな戦略が動き出してから6ヵ月後。踏み出すための環境は整った。
「カバー率は部品全体で80%まで到達させることができました。軽自動車用については重点課題なので、気を緩めずに今後も品番設定をしていきます。将来の需要をいかに読むかが重要ですし、立てた戦略からブレてはいけない。そう思っています」
豊田は、配布日に滑りこむようにカタログを完成させた。
「検索しやすいようにインデックスを設けたり、誌面のデザイン・レイアウトを工夫して、何とか満足のいくものができました。硬いイメージの表紙が多い中、親しみを持ってもらうため、表紙に女性モデルを起用したものもポイントです。いかに手に取って、開いてもらうかが大事ですから」
軽自動車カタログは大好評を博した。2万5000部を印刷したが、これは部品適合表としては最多で、今まででは考えられない数だった。

「トヨタ部品共販店から“こういうカタログが欲しかったんだよ!”と評価をいただいて、達成感は格別でした。僕はバルブを担当していますが、どうマーケットの先を読み、先手を打っていくか、自分の“想い”を伝える仕事をしていきたいですね」
とった戦略の効果が出るまでには時間がかかるものだ。しかし、軽自動車用部品の売上実績を見てみると、取り組みの成果は確実に出始めているという。

軽自動車専用カタログ

PROJECT05 『girls’ garage』ブランドの立ち上げ

  • 用品部 用品MD室
    マーチャンダイザー

    佐藤 正人

    2000年入社。プロジェクトリーダーとして、立ち上げから商品開発、販売企画まで全てに携わる。「タクティーの設立当初に入社しましたが、新しいコトや可能性があるコトに挑戦できるという魅力は今も変わりません」

  • 用品部 用品MD室
    マーチャンダイザー

    小野 古都美

    2011年入社。シートカバーやカーマットなどのインテリアの商品企画を担当。「就活中に“若手でも色々なコトができる”と聞き、“大きなやりがいがあるはず”と感じて入社しました」

  • 用品部 用品MD室
    マーチャンダイザー

    坂倉 藍

    2012年入社。フレグランス(芳香剤)の商品企画を担当。「しっかりした事業基盤をもちながら、多方面でビジネスを展開していることに魅力を感じて入社しました。これからもっと成長していく会社だと思います」

「今の商品ラインナップから、更に魅力を上げる必要があるだろう」
カー用品の企画やマーケティングを手掛ける用品部では、連日ミーティングが繰り返されていた。世の中には様々なカー用品があるが、似た商品が多くあることも事実だった。
「今、品揃えで足りない商品って何だろう・・・・・・」
議論を重ねた末、佐藤がたどりついた答えは、「“女性向け”のカーグッズです。そこで、新しいPB(プライベートブランド)を立ち上げようと。目指したのは、“自分好みのカー用品が『ジェームス』に行けばあるかも”と女性に思ってもらうことです」
商品開発のために向かった視察先は、仕事では足を運んだことのない場所だった。
「人気の雑貨店やファストファッションの店舗を片っ端から見て回りました。商品はもちちん、商品棚の材質や陳列方法までくまなくです」

一方で、佐藤はブランド名の検討に入る。多くのネーミング案を出した上でとった行動は、
「アンケートを実施して、社内の女性に決めてもらうことにしました。女性が立ち上げたブランドにしたかったからです。結果はダントツで『girls' garage(ガールズガレージ)』でした」

ロゴ

佐藤は商品開発を、社内にいる3人の“日常的にクルマを使う女性”と進めた。
「ターゲットに近いスタッフに参加してもらいました。無地はツマラナイけど、花柄は人を選ぶ。そこで、可愛らしくて飽きないドット柄をキーデザインに。これも彼女たちの意見を重視した結果です」
着手して半年後の2013年12月。街がクリスマスセールで賑わう中、第1弾となる大人の女性に向けた車内インテリア商品が完成。ハンドルカバー、アンブレラケース、低反発シートクッションなど9点の『girls' garage』がリリースされた。
そして年が明けると、ラインナップを増やすために開発はさらに加速する。チームに加わった新メンバーの一人が小野だった。
「担当したのは、インテリア関連のグッズです。コンセプトは“車内のトータルコーディネイト”。女の子にとっては、クルマの中も自分の部屋ですから」
小野は市場調査でニーズが高かったカーマットの開発からスタートした。

「まずは“形状”から入りました。溜まったゴミの掃除をしやすいお皿のような“立体型”に。もちろん“色”にもこだわりました。バリエーションもたくさん揃えることに。それまでのカーマットは汚れ防止が最優先で、黒一辺倒だったからです。付加価値がなければ買ってはもらえせん」
すべての商品企画が固まり、試作段階へ。中国の生産工場に試作を依頼。小野は到着を待ちに待ったが、届いたダンボールを開けて愕然とした。

女性の意見を参考にデザインや機能を決めて行く

「イメージしていた“色味”と全く違っていたからです。現場に問い合せてみると、カーマットに色や柄を付けること自体初めてのケースでした。なかでもブラウン系の調整は困難を極めましたね」
国際電話で何度もやりとりをし、やり直しを繰り返していくが、思い通りの色味が出ない。そこで小野は、
「もう中国に行くしかないと。現場に着くなり、工場のラインに数時間はりついて細かく指示を出しました。職人さんとの激しい攻防が思い出されます」
車内に置くフレグランス(芳香剤)を担当した新メンバーの坂倉も、大きな壁にぶつかった一人だった。
「『ジェームス』ですでに売られているフレグランスは約700種類。その約6割が男性に好まれるムスク系などの香りでした。そこで、癒しをテーマにしたアロマ系の商品を充実させることに。ただ、問題はフレグランスを入れる“容器のデザイン”にありました」

坂倉がこだわったポイントは、ボトルに“造花”をあしらうこと。過去に例のない演出だったが、問題は生産の開始直前に発覚する。
「安全性を最終確認するために、高温の車内に長時間置くテストをしたときです。造花が剥がれ落ちてしまって。接着剤の性能が熱で低下することが原因でした」
解決するため、坂倉はトライアンドエラーを繰り返す。そして、接着剤ではなくワイヤーで固定する方法に見出し、二度目のテストに挑む準備を進めた。

  • パッケージデザイン校正(プレート)

  • 工場にて多数のサンプルを使い
    色味を調整する

  • 香り選定

第2弾の『girls' garage』グッズは、小野が手掛けたシートカバーを皮切りに発売された。
「カーマットも2ヵ月後にはリリースしました。女性に好評のようで、売れ行きも上々と聞いています。嬉しかったのは、メディアで取り上げられるほど話題になったことです。自分が生み出したモノに対する“世の中の手応え”がわかる。私にとって大きなやりがいになっています」
坂倉のフレグランスも、カーマットに引き続くかたちで販売にこぎつけた。
「当初の計画の2ヵ月遅れだったことが悔やまれます。“カワイイ!”と手にとってもらいたい。その想いが強すぎて問題に気づけなかったことを反省しました。それもあって、次の商品開発に燃えています。“きみに任せる”、“失敗してもいいからやれ”と、担当者の意見やアイデアを尊重してくれることが、この会社の魅力。あらためてそう思いました」

2人の背中を押しつづけた佐藤だが、このプロジェクトには予想外の収穫もあったという。
「店舗で『girls' garage』を売る女性スタッフの間でも盛り上がったことです。“こんなグッズがあったら売れるかも”。そんな声が全国から寄せられて、現場の意見を商品開発に反映するというケースも生まれました」
女性向けの商品ラインナップと店舗売上で、業界No.1になるために。タクティーで働くすべての女性を巻き込んだチャレンジは、まだ始まったばかりだ。

  • 『girls' garage』商品