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構想段階からプロジェクト全体をリードするスーパーバイザー。業界の常識を覆す取り組みに闘志を燃やす。「私が理想とするのは、子どもから高齢者まで地域で愛されるカー用品店であり、温かいサービスです」
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主力商品であるタイヤバイヤーの経験を活かし、店舗のエントランス周りの大改装を主に担当。「クルマに興味のない人でも、入りやすくて楽しめる『みんなのガレージ』に育てていくつもりです」
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VMD(ビジュアル・マーチャン・ダイジング)の導入で売り場の変革を推進。“魅せる店舗づくり”に勤しむ。「経験者ほど常識に捉われがち。この新しいブランド戦略には、若手社員の斬新な発想が欠かせません」
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クルマは“生活を彩るツール”と考えるプロモーション担当。「経験が浅くてもビッグプロジェクトの一員になれますし、人を巻き込みながら挑戦できるところが、この会社で働く魅力だと思います」

2013年4月。タクティー(現・トヨタモビリティパーツ株式会社 本部)本社の会議室では、マーケティングや店舗開発など各部門からメンバーが招集され、白熱した議論が続いていた。テーマは、次世代のカー用品店。スーパーバイザーを務める武藤も、現状に危機感をもつ一人だった。
「既存のカー用品店『ジェームス』はこれまで右肩上がりの成長を続け、全国91店舗まで拡大しました。しかし、この成長にあぐらをかいていていいのかという危機感がありました。もうチラシを撒くだけでカー用品が飛ぶように売れるような時代じゃない。とは言え、低価格競争では限界がある。もっと他に提供できる価値はないかと、意見を出し合いながら突破口を模索する日々でした」
週2回の定例会議は数ヵ月間続いた。そして辿り着いたのは、カーライフそのものの提案だった。
2013年4月。本社の会議室では、マーケティングや店舗開発など各部門からメンバーが招集され、白熱した議論が続いていた。テーマは、次世代のカー用品店。スーパーバイザーを務める武藤も、現状に危機感をもつ一人だった。
「既存のカー用品店『ジェームス』はこれまで右肩上がりの成長を続け、全国91店舗まで拡大しました。しかし、この成長にあぐらをかいていていいのかという危機感がありました。もうチラシを撒くだけでカー用品が飛ぶように売れるような時代じゃない。とは言え、低価格競争では限界がある。もっと他に提供できる価値はないかと、意見を出し合いながら突破口を模索する日々でした」
週2回の定例会議は数ヵ月間続いた。そして辿り着いたのは、カーライフそのものの提案だった。 「女性や家族連れといった新しいお客様を獲得していくためです。ただ、品揃えの充実や店内の模様替え程度では根本的な解決策になりません。そこで今までの『ジェームス』とは違う、まったく新しいブランドコンセプトを立ち上げようと。目指したのは、カーマニアではないユーザーにも気軽に来てもらえる、ガレージ感覚のお店です」
名は体を表すと言うように、新コンセプト名は自ずと決まった。『みんなのガレージ』。スローガンは、“カーパーツのお店から、カーストーリーのお店へ”。
業界でも前例のない挑戦が始まった。
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自ずと決まった新コンセプト名
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新コンセプトの店舗外観

カー用品店の店構えとして真っ先に浮かぶのが、山積みされたタイヤだ。それは、“カーマニア以外お断り”と言わんばかりに行く手を遮る。『みんなのガレージ』プロジェクトが 最初に着手したのは、エントランスの変革だった。担当した三谷は言う。
「圧倒的な品数・在庫数を見せる=売上アップ。それが業界の常識でした。ただ、あの黒くそびえ立ったタイヤの塊を見れば、家族連れには“危ない”、女性には“服が汚れる”と思われて当然です。実際に行った、顧客アンケートの結果からも明らかでした。そこで、まずは“圧迫感がない”をポイントに展示場所や方法を検討することにしました。雨さらしになる屋外から屋内へ。陳列棚はスチール製から木製に。ホイールを近くに飾って空間デザインに活かすなど、取り入れた工夫は多岐に渡ります。目指したのは、“倉庫”から“雑貨店”へのイメチェンです」
変革のポイントは、商品の“選びやすさ”にも及んだ。そして、既存店でのテストマーケティングが始まる。
「クルマに詳しくない人にとって、商品選びは至難の業。そこで導入したのが、タブレット端末です。お客様も興味をもちやすいようで、接客でも“こんなタイヤもあるのね”“他の商品を検索してみてもいいですか?”と盛り上がりました」
この取り組みは、顧客の満足度を上げるだけではなく、商談時間の短縮というメリットも生んだ。三谷は手応えを感じていた。

圧迫感を無くし、オシャレな雑貨店のようなエントランス

タブレットを用いた親身な接客

「カー用品店に付き合わされる女性にとって、待ち時間は苦痛ですよね?」「お洒落なカフェは絶対に必要だと思う!」「子どもと楽しめるイベントをもっと充実させるのはどうだろう?」
カー用品店を“楽しめる場所”に変えるアイデアが、次々と出されていく。なかでも目玉となったのが、仮坂がリードしたVMD(ビジュアル・マーチャン・ダイジング)の導入だ。
「売り場の“視覚的な演出効果”は欠かせないと思いました。たとえば商品の“色”。大幅にカラーバリエーションを増やし、グラデーションで見映えのする風景にすれば、遠くからでも注目されて手に取りたくなるという仕掛けです」
仮坂は専門家を招いて、人の心理や習性を徹底的に学んだ。そして、さらに大掛かりな魅力づくりに着手する。
「売り場を“7つのゾーン(カーアクセサリー、カーファッション、カービューティー、アクティブライフ、エンジョイドライビング、ワクドキ、カーメンテナンス)”に分けました。色々な専門店が入っているショッピングセンターと同じ考え方です」
今やVMDはアパレル業界などでは常識だ。しかし、カー用品業界では注目されてこなかった。
「VMDをテスト導入してみると、販売実績があまり良くなった商品が、テスト期間中に前年比150%の売上げを記録するなど、導入効果は歴然でした」
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お洒落なカフェを導入
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カラーバリエーションを増やし、見栄えのする売り場の風景
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VMDを導入した売場

“カーライフの提案”に最もこだわったのは、プロモーション担当の永冶かもしれない。
「商品を並べるだけの広告とは決別しました。ポータブルスピーカーにしても、音楽を聴きながら洗車をするといった“シーン”とあわせてアピールすることにしたんです。カーライフを提案することが『みんなのガレージ』ですから」
広告でPRしたシーンは、売り場でも再現。来店者の背中を“もう一押し”する。この連動型の取り組みは、チームにも一体感をもたらした。永冶の新しい販売促進手法の追求は続く。
「商品広告にQRコードを添え、スマホで“使用シーンが動画で見られる”ようにしたいと考えています。入社間もない女性社員もメンバーの一人ですが、若手にチャンスが与えられ、経験よりも新しい発想を期待されているところにやりがいを感じています」
2014年3月。晴れて新コンセプト一号店はオープンした。今年度中に50店舗の『みんなのガレージ』が全国に展開されていく計画だ。構想から出店までを振り返り、武藤は言う。
「最大の課題は、業界の常識に縛られていた私たち社員の意識を変えることでした」
ちなみにタクティーでは、担当した本人が企画から実行まで一気通貫でやり抜く。“想い”が現場に伝わってこそ、変革は完結する。そんな信念があるからだ。カーライフを提案し、新ブランドが浸透するその日まで、一人ひとりの挑戦に終わりはない。

商品を並べるだけの広告からカーライフを提案する広告に
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新たな発想でのPR方法の追究
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カーライフを提案する店舗