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1998年入社。新たな販売支援策となったイベントの準備から運営までを担当した。 「この部署で卸売事業に関わる前は、『ジェームス』で新店舗の立ち上げやタイヤのバイヤーなどを務めていました」
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2007年入社。森とともに販売支援策に携わり、イベントの企画立案に取り組む。

トヨタモビリティパーツには、カー用品店『ジェームス』を担う小売事業のほかにも核ビジネスがある。自動車部品・用品の卸売事業で全国の33社の支社を通して、全国に約4,700拠点あるトヨタディーラーに部品・用品の供給をしている。なかでもかつて水谷や森が担当していた“タイヤ”は主力中の主力商品である。
「取扱い額が大きいので、任されていると思うとプレッシャーも大きいですが、仕事のやりがいや醍醐味の大きさはそれ以上ですね」
そう話す水谷は商品を調達するバイイングとあわせ、販売手法も企画するため、「マーチャンダイザー」と呼ばれる。
「取り扱うタイヤのメーカーは、米国の『グッドイヤー』です。当社は、日本でNo.1の取引額を誇ります。私たちの最大のミッションは、より多くのお客様にグッドイヤーのタイヤを届ける事です。」
世間でタイヤがもっとも売れる季節は、冬といわれ、タクティーが供給するタイヤも、10本に3本が雪道用の“スタッドレスタイヤ”だ。森いわく、この商品には慣例があるという。
「およそ4年に一度実施されるモデルチェンジです。氷上性能をアップさせた新商品が発売されますが、私たちにとって大勝負になることは言うまでもありません」

2013年は、モデルチェンジの当たり年だった。グッドイヤーから新商品が発売されることを受け、販売支強化策の検討が始まる。
「タイヤの売上が年々拡大していたので、期待の大きさがひしひしと伝わってきました。」
水谷が任されたのは販売強化策の中身。“企画”だった。
「グッドイヤーは、米国ではトップシェアです。しかし、日本での認知度はまだまだ低い。国内のメ-カーの牙城を崩すのは至難の業です。だからこそ企画力が求められました」
一般的に販売強化策は、販促ツールやノベルティ、インセンティブを用意するケースが多い。“商品そのもの”の魅力が伝わる施策は意外に少ないのだ。そこで水谷は、ある企画を思いつく。
「全国にまたがる“試乗研修会”を提案しました。販売スタッフに地区毎に集まってもらい、新しいスタッドレスタイヤの魅力を実際に体感してもらおうと。大事なことは、お客様と接点をもつ販売スタッフ本人に性能の良さを味わってもらうこと。販売スタッフに良さが伝わらずして、お客様にまで良さが伝わるはずがないですから。」
水谷は開催する会場や評価してもらう方法なども含めて、プログラムの内容を固めていく。そして、グッドイヤーとの交渉をスタート。反応は上々だった。

検討が始まってから6ヵ月後、試乗研修会の実施が正式に決まる。森は、水谷の企画を“実現”する役目を引き受けた。当日をめざして準備に奔走する。
「商品や試乗車の手配は問題なく進みました。大変だったのは、氷上を想定した会場として“アイススケートリンク”を押さえることでした」
トヨタ部品共販店(現トヨタモビリティパーツ33支社)は全国にある。地区で割っても最低8ヵ所の巨大なスケートリンクが必要だった。
「ただ、オープンする日が遅いところで9月。冬の販売商戦がスタートする前に実施しないと意味がありません。また、多くの参加を見込んで17日程計画したので、開催日が重なる地区も」
スケジューリングに頭を抱える一方で、他にも大きなハードルがあった。試乗研修会を運営するスタッフの確保だ。
「担当を割り振ると、少なくとも1会場につき15人程度は必要でした。そこで、社内の他部署に社員の派遣を依頼する事に。宿泊してもらうホテルの予約など、やるべき事は山ほどありました。ハードスケジュールで苦労の連続でした。ただ、今までにないスケールの試乗会だったからこそ熱が入ったのは確かです。トヨタ部品共販店(現トヨタモビリティパーツ33支社)からも”楽しみにしていますよ”という声をたくさんいただきました。
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トラックをチャーターし、資材を搬入
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販売スタッフ向け商品説明会

暑さがまだまだ残る9月9日。大阪会場を皮切りに、全国縦断の試乗研修会はスタートした。終わってみれば、参加者は過去最大。参加者からは氷上でのあらゆる性能に満足いただけた。企画を担当した森は、胸を撫で下ろす。
「“自信をもって販売できるか”というアンケート項目に対して、“できる”という回答がほとんどでした。グッドイヤーのタイヤを取り扱うことが、トヨタ部品共販店(現トヨタモビリティパーツ33支社)のメリットになる。そんな企画を今後さらに打ち出していきたいと思っています。卸売事業といっても、トヨタ部品共販店(現トヨタモビリティパーツ33支社)とグッドイヤーを取り次ぐだけが仕事ではありません。新商品の設定から店舗の展開まで、どんなことでも提案できる。そして、自分が企画したことが全国に広がってビジネスが大きく動く。そのスケール感にいつもワクワクしています」
試乗研修会を無事成功させた水谷には、挑戦したいテーマがある。
「グッドイヤーというブランド価値のアップです。タイヤの性能は各社ともほとんど差がありません。その中でブランドイメージを確立し、グッドイヤーならではの世界観をアピールしていく事が重要。より多くのお客様にグッドイヤーを知ってもらえるような企画を考えていきたいですね」
ちなみに水谷と森が関わった新しいスタッドレスタイヤは、過去最高の出荷本数を記録したという。
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試乗コースの説明
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スケートリンクを使った試乗会の様子